ビジネスノウハウと武勇伝の境目【613回】
目次
これから、ビジネスで短期間に成果を上げるノウハウを公開します。
-ウェブサイトの申込ボタンはグリーンを使うと購入率が上がる。
-会員制ビジネスはまず5名以内の少人数から始めるべき。
-広告なんて使わなくても、強みが明確なら集客は苦労しない。
-人との縁がすべて。情報も売上も人が運んでくれる。
-起業ではリスクを取らなければ成功なんてしない。
-競合がいない差別化された商品を売らなければならない。
まだありますが、そろそろ罪悪感に苛まれて限界ですのでやめておきます。
すいません。
これ。全部嘘です。
ビジネスのノウハウなんかじゃありません。
もちろん、上手く行く方法論なのは間違いありません。
だって、上手くいったことある人がいるものばかりから。
ただ”ノウハウ”ではないんです。
”事例”です。
そして、たいていこの手の”ノウハウみたいな事例”は経験者から、熱量をもって語られることが多いです。
強めに主張されたり、断定的に勧められたりします。
「私はこうした。だからあなたもそうしなさい。」てね。
「お父さんの子供の頃なんて、おもちゃなんて買ってもらったことがない。たがらあなたも我慢しなさい。」
みたいなのと同じ。
要するに、ただの武勇伝なんです。
間接的な自慢話っていうと強すぎるかな。
でもそんな感じです。
ちなみに、”ノウハウ”という言葉を辞書で調べると、
「専門的な技能の蓄積」と書いてあります。
そうなると、「自分の技能」「自分の一つの体験」だけになると、やはり事例、ケースの範疇は超えないと思うんですよね。
もちろん、ビジネスなんて結果が予測できないことばかりですから、こうなるのも無理はありません。
成功した事例の蓄積でしかないといえばそうですしね。
だって、MBAだってほとんどの授業はケーススタディ。
もちろん”ノウハウ”そのものは確かに存在すると思います。
ビジネスの世界でもあると僕は思っています。
一つの目的のためにとるべき行為を、いくつか試した結果、似たような成果がだせるものであれば、ノウハウと呼べると思うんですよね。
だからコンサル業なんてものが成立するし、成果も出せると思っています。
ただ、この境目が実に難しいんです。
それはノウハウであり再現可能なのか?
ただのあなたの自慢話で武勇伝なのか?
ということで、武勇伝とノウハウの境目をお話しますね。
今日もYouTube動画とPodcast音声と文章版でどうぞ。
*メール下部に文章バージョンもおつけしています。*
動画で見る|ビジネスノウハウと武勇伝の境目
文章バージョン続き|ビジネスノウハウと武勇伝の境目
ここまでひっぱっておいてなんですが、もちろん明確な境目なんてありませんよ?
そもそもビジネスは変動要素が多すぎなんです。
「たまたま」の集合体っていうのもまた事実。
10人やって9人成功したものをノウハウと呼んでも、
11人目と12人目は全部失敗するかもしれないし、
10人中1人しか成功しないような武勇伝でも、
11人目と12人目は成功するかもしれません。
そうなると11人目にとっては武勇伝こそがノウハウになっちゃいます。
ただね。明確じゃないけど、やはりそこは確率論で考える方がいいと思うんです。
明確で確実じゃないのだけど、やはりノウハウと呼べる成功率の高いものか、
武勇伝と呼べる特殊な事例かを認識してるかしてないかで、
その行動にリスクをどれだけかけるか?
どれだけ失敗のリスクを減らせるか?が変わると思うんです。
もちろん、僕もノウハウと事例の境目を見誤ったことがあります。
まずはその話をしましょう。
■僕が編み出した秘密の成功ノウハウは実はクソだった話。
僕の会社「コンテンツラボ」はサービス業者です。
業種はコンサルティング業。
このサービスを始めた当初、とにかく必死でした。
そして成果が劇的上がる成功パターンを見つけたことで生活が一気に楽になりました。
こんなパターンです。
まず、アクセスを集めたら、無料相談をオファーします。
完全無料。何か申し込まなければならないってこともありません。お客さんの義務はゼロ。
これで申し込み率が劇的に上がることがわかりました。
そして無料相談の申し込みがあったら、返信は数時間以内に行います。
アポもできるだけ先方の時差や希望に合わせて長くても数日以内に設定します。
返信も無料相談で会話する日時も早ければ早いほど受注率が上がることがわかりました。
さらに、無料相談のアポを取る際、アポに繋がりやすくするため、
1名1名プレゼン資料と音声説明を録音して回答していました。
これで、申し込みだけしてシカトされる率が劇的に下がることがわかりました。
無料相談では、時間は無制限、徹底的に相手の話を聞きまくります。
さらに、それらの問題を解決できて、相手の心の琴線に触れる提案をしまくります。
これで、受注率が劇的に上がることもわかりました。
しんどくてもサボらず、毎日毎日、これを愚直に行うと、驚くほど短期間に軌道にのりました。
このことを当時の僕は秘密にしていました。
それくらい完璧な”ノウハウ”を確立したと思ってたんですよね。
コンサル業やコーチ業を目指す近い友人や、コンサル業やコーチ業を目指すクライアントさんだけに使ってもらおう。
そう思っていました。
だって最高のノウハウなんですから(笑)
でも結果は散々でした。
うちのスタッフはもちろん、コンサル業やコーチ業を目指すクライアントさんで実行してもらっても、
驚くほど受注できません。
そして気がつきました。
”これは”僕にしかできないってことをです。
別に自画自賛してるんじゃなくて、会話のリズムとか、
子供が生まれても稼げてない自分の焦り恐怖によって長時間労働が我慢できることとか、
電話で人さまをサポートする技術がコールセンターの仕事とかを通じてプロレベルだったこととか
とにかく僕だからできることだったんですよね。
話すのを上手になりましょう。
寝る時間を惜しんて対応しましょう。
こんな前提があるなら、もはやノウハウじゃないですよね。
でも、この時の僕はこれをノウハウだと信じていたし、
強めに語っていました。
なぜなら、自分が苦労して、恐怖と戦いながら編み出したって自負があるからですね。
「どうだ!これがノウハウだ!」てな感じ?
しんどいことをして成果を出すと、アピールしたくなるんですよね。
「僕はやりとげたよ。だからお前もできるはず。」って感じですかね。
そんなの武勇伝でしかありません。
実行してもらった人には素直に謝って
別の「ノウハウ(これは本当のノウハウ)」を試してもらいましたが、
大きな失敗でした。
そうと信じて疑わず何年も同じことをやってもらってると、
コンサル業やコーチ業を目指すクライアントさんに、火傷させるところでした。
■例:お金があるか?集客力があるか?でノウハウは変わる。
別の話もしましょう。
会員制のサロンとか会員制ビジネスを検討してるクライアントさんとの会話です。
そのクライアントさんが、会員制ビジネスのノウハウについてSNSで発信している人の
内容を教えてくれました。
その先生曰く、「会員制ビジネスははじめ絶対に数名から始めるほうがいい」ということだったそうです。
なぜなら、会員制ビジネスは最初ユーザが何を求めてるかわからないまま大人数を集めてしまうと、
短期で解約が続出してしまって、破綻しやすいってことなんだそうです。
もちろん、正しいことをおっしゃってますよね。
会員制の肝は継続率。継続しないサービスほど維持が難しいものはありまあせんから。
だけどね。これは集客力がないって前提があるかもしれません。
だて集客力があれば人数多く集めて流出が多少増えても、リカバリしながらやれます。
そして大人数でこそ会員制のベネフィットを演出できるメリットもあったりします。
結果継続率は少人数のものより高くできたりもした人も多いと思います。
そして、お金に困ってない場合の話でしか少人数でしばらくやるってことは無理ですよね。
そもそも毎月のキャッシュが欲しくてやる場合、たとえば月5000円のユーザを3名とかでやっても
そもそもビジネスが維持できません。
これ、僕はいちゃもんつけてるわけじゃなくて、
少人数で始めるべきってのは武勇伝の類じゃないかなってことなんです。
間違ってないんです。正しいアドバイスなんだけど、
ノウハウじゃない。実行して成功させるのは個々の前提があるんですよね。
そうと信じて疑わず何年も同じことをやるのと、一つのケースだと思って捉えるのでは
真似た後の時間的、金銭的リスクが変わってしまいます。
■例:好きなこととお金を稼ぐことは両立できない問題
他の例ももう1個。
ある起業コミュニテイに参加した時のことです。
起業を志す若い女性がこんな相談をしていました。
「ファッションが大好き。だからファッションで何かビジネスがしたい。
自分の洋服ブランドを立ち上げたい。
でも、お金持ちにもなりたい。お金とやりたいことを両立できないからどうすればいいか?」
こんなの。
それに先輩起業家がこんなアドバイスをなさっていました。
「私は好きなことしかできないと思ったのでお金持ちになる、お金を優先するのはできないと思って諦めた。
好きなことを優先して今充実している。あなたもどっちか決めたほうがいいですね。」
こんな感じ。
これも武勇伝ですよね。
正しいんです。その通り。その通りだったんだろうと思います。
アドバイスしたそのコミュニティの起業家先輩も別にこれが正解だなんておっしゃってませんでした。
”私の場合は”っておっしゃってましたから。
そうなんだけど、ファッションっていう分野で、それが好きで、金持ちになった人なんて
めっちゃいるし、方法論がないわけじゃないじゃないですか?
もちろんマネタイズだけを優先する時の成功率と、
好きなことって要素を混ぜてしまうときの成功率は違うんだけど、
どっちか選ばなければならないほどではない。
やはりこれはノウハウじゃないのだろうなと。
そうと信じて疑わず何年も同じことをやるのと、一つのケースだと思って捉えるのでは
真似た後の時間的、金銭的リスクが変わってしまいます。
■なぜ武勇伝はノウハウと間違いやすいのか?
なんでこんなに武勇伝が世の中を賑わせていて、ノウハウのように捉えられることが多いのか
考えてみました。
ひとえに、自分の編み出したパターンは強めに語られることは多いと思うんです。
つまり自慢しがちなんですよね。
本人は自慢してるつもりがなくても、結果そうなってることが多いです。
そして、たいていそれは難しそうだったりします。
なぜなら、難しいこと、困難なことをクリアした自負があるからこそ熱くなるってもんです。
人に言いたくなりません?
なんならそのノウハウが売れるんじゃないかとさえ思ってしまうかも。
でも、ノウハウだって多くの成果を出しているはずですよね。
しかも武勇伝よりも成功している件数が圧倒的に多いはず。
なのに目立ちません。
あんま熱く語る人がいない。
なぜかというと、成果の出た件数が多いってことは、さして珍しくなくなってる手法だからだと思うんです。
だからこそサラッと語られてることが多い。
周知されてるから、当たり前の方法論として世に出てることが多いです。
そして、珍しくないものになります。
珍しくない、目新しくないものって、人はあまり強く反応しません。
あんまり強く反応しないからこそ、当たり前の情報として伝える。みたいなものですね。
これが、ノウハウが軽視されて、武勇伝が注目される理由じゃないかなと思います。
ちなみに・・・
確かにノウハウでさえ最後はやってみないとわからないのだけど、
難易度が低いものが多いんです。
時間的金銭的リスクが少ないものも多いです。
なぜなら、だからこそノウハウとして普及してるからです。
となると、テストって感覚で実行できるものが多くなります。
一方武勇伝は難易度が高い。
例えば僕が当時ノウハウだとおもってた武勇伝である「エンドレス無料相談地獄」は、
毎日毎日寝る時間も削れって、テストするにはしんどすぎます。
何も始める前から、金儲けか好きなことが選べってのも乱暴すぎます。
金も稼げないのに、未来があるかどうかわからない会員ビジネスを
数ヶ月もやってられません。
ご縁があればお金は後から付いてくる的なノウハウに見える武勇伝もそうですよね。
人との付き合いを深くするのって数年かかりません?
それで成果でない時に時間的リスクが大きすぎます。
でもさ、facebook広告で1万出すとかって、これはノウハウだけど
ノウハウだけに、簡単は簡単。
実行する時間とお金はそんなに大きいリスクにならないと思うんです。
■まとめ
ということでまとめます。
語りや主張が強めなノウハウは、武勇伝だと疑ってみてください。
その難易度が高そうならほぼ武勇伝だろうなと思います。
それを試したいなら、「試す」範囲で取れる時間とコストならテストしていきましょう。
できなさそうなら、ノウハウっぽいものを見つけてください。
ノウハウはたいてい強めに語られてません。
サラッとしてるし、聞いた瞬間チープに見えるかもしれません。
でも効果があるからたくさんのところで語られるし、
たくさんのところで語られるからチープに見えるわけです。
売れるものを売れ。ってアドバイス、
チープでしょ?
広告を出せ。ってアドバイス。
チープでしょ?使い古されてるけど成果の出るノウハウだからです。
インスタで3ヶ月でフォロワーを5万に増やした人が、こんな風にストーリーズを投稿するとフォロワー増える。ってノウハウ。
ちょっと反応するでしょ?だって武勇伝だから。
インスタでフォロアーが10万人いる人が、こんな風に毎日投稿とストーリーとリールを投稿して、
投稿するネタはこんな風に毎日集めて、画像はこういう風に加工方法を覚えて、コメント返しも忘れずに。ってノウハウ。
チープでしょ?使い古されてるけど成果の出るノウハウだからです。
そういう感じです。
ちなみにノウハウを選ぶコツは、武勇伝の中から共通項を探すことと、
強めに語られてないサラッとしたありきたりのノウハウを見つけることです。
ま。もちろん、そんなことをしてあがいてるうちに、
自分の成功パターンできあがったりするもんってオチもあるんですけどね。
それがあなたのノウハウという名の武勇伝になったりします。
とにかく。
大切なのはなんにしても目新しいものをこそ、盲信しないことですね。
「常識を疑え!」ってのは人生を上手に生きるコツかもしれないけど、
ビジネスのノウハウにおいては、常識が確かに存在するんだよなー。。。
実際僕らのクライアントさんはノウハウ、常識の実行で成果が出てるんですよね。
まつまらない話かもしれないけど、本当だからしょうがいってことで。
ーー動画だと、もっと詳細に語っていますので、
もっと理解したい人はそっちもご覧ください。
ではでは。
【雑談】ウクライナ
ほんと早く終わるといいですね。
このコンテンツの動画を撮影した日が2月28日。
ウクライナ侵攻が始まってすぐくらいでした。
撮影日に「早く終わりますように」って話してたんですが、
残念ながらまだ続いてます。
僕ウクライナに昔のクライアントさんが住んでるんですよね。
不謹慎なことを言いますと、
遠い中東の紛争のことを普段気にしたりしてることはないのですが
今回は知人がいることで心配度合がすこし増してる気がします。
ご性格は多少存じあげてますので、「らしいな」と思いましたが
ご家族が残るとおっしゃってるのでキエフにいます。
そしてさすがネットビジネスをする人らしく
ユーチューブで現地情報配信し、テレビにも出てらっしゃいました。
そんなことで、無事は確認できるのですが、
とにかく早く終わってほしいです。
ここで、
ヤンウェンリー提督の有名なセリフを少々
「人は戦争を始める時、人命より守るべき大事なものがある。と言う。
人は戦争を終わる時、人命より大切なものはない。と言う。」
現実の戦争を見ながらこんなセリフは噛み締めたくなかったですねー。
エンタメの中だけで十分だったのにね。
人類に戦争がない時代なんてなかったし、
これからもないんでしょうし、残念ながらそういう動物なんでしょう。
政治的なことも深く語ることは控えますが、
とにかく、勇ましいことを言ってみたり、応援してみたりしたところで、
どっちにも、とにかく死ななくてもいい人が死んでるわけでしてですね、
こう思うんですよ。
グダグダでも、塩漬けでも、みっともなくても、
先延ばしでも、恥ずかしくもて、なんでもいいから
早く終わってほしいものです。
と言いつつ、
エゴ1
これで’また物流が混乱したり
ビジネスに影響がなければいいなというのもあるんですよ。
海外在住の方には影響モロにでますので、早く終わってくれないかなと。
エゴ2
晴天の中、綺麗な海でサーフィンできることとか、
子供が元気なこととかに感謝した次第です。はい。
ではみなさんも、健やかなでよい日々をお過ごしくださいませ。