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君に顧客は選べない。【第673回】

あなたに問題です。
次のケースについてあなたならどうするか?考えてみてください。

あなたは通信会社の経営者です。
方式はADSL通信。

ADSLってのは光と違って電話線を使いますので、
契約したはいいけど全然繋がらないか低速になることがあります。
建物内の配管の劣化とか、近隣のノイズによって起こるんだけど繋いでみたいとわからない。

セールス窓口の担当者は契約時にその点を説明は一応してますが、あえて強くは主張しません。
とにかく「めっちゃ快適になりますよ!しかも安いです!」ってセールスをして契約します。

おかげて契約数はどんどん伸びています。

しかし開通日に繋がらない場合、カスタマーサポートに鬼クレームが来ます。
解約返金になる人も多いです。

といっても全体の数パーセントです。
100名契約したら5名ー10名くらい。

カスタマーサポート担当者は経営者であるあなたへ直訴します。

「契約時に繋がらないことがある旨をもっと強く説明して、同意したサインをもらってください!」

「または、事前に接続テストをしてから契約してください!」

でも、その方法で契約するとセールス担当の試算では契約数が今の半分以下になります。

つまり今のままだと100名契約して10名返金で鬼クレームあり。
同意を取ると30名契約して返金は10名返金で鬼クレームはなくなる。

1名あたりの年間売上が10万円だった場合、1000万と300万の差がでます。
でもカスタマーサポートの心労は激減するし、顧客満足度も上がるでしょう。

A 契約時にリスクを重々しく説明するかテストして契約数を事前に減らす。

B 今まで通り。契約してくださる人は契約して、結果的に発生したクレームは吸収する。

あなたならどっちにします?
難しい問題ですよね。

今日はこの難しい問題に絡む話をします。

つまり理想的な顧客だけを最初から選ぶのか?
とにかく売上を最大化することを優先するのか?

僕なりの答えをお話ししますね。

YouTube動画とPodcast音声と文章版でどうぞ。
*メール下部に文章バージョンもおつけしています。*

 

動画で見る|君に顧客は選べない。

文章バージョン続き|君に顧客は選べない。

ちなみに冒頭のケースは、本当に日本の通信ベンチャーであった話です。
その会社の経営者はBを選択しました。
つまり契約数を最大化して、満足を得られないお客様はカスタマサポートで吸収し続けました。

結果、圧倒的に日本でトップシェアになりました。

ちなみにその時の鬼クレームを受ける部隊に僕はいました(笑)

経営的にはおそらく、契約数を最大化することが善なのだと思います。

とはいえ、こんなダイナミックなケースには
ほとんどのスモールビジネスではぶつかりません。

もっと違う意味で顧客の選別に直面すると思うんです。

いくつか例を出してみますね。

例えば男性向けの婚活ビジネスをしているとしましょう。

顧客A:年収3000万円。38歳。容姿端麗。高身長細マッチョ。仕事に没頭して相手が見つからないだけ。

顧客B:年収400万円。51歳。容姿普通。中肉中背。20代のお相手をご希望。

素人目で考えても顧客Aの方がサービスの最終ゴールである成婚という目的を果たせそうですよね?

顧客Bの方はご希望の成果に至るには結構しんどそうです。
しかもクレームになる可能性もはらんでいます。

顧客Bさんから契約申し込みがあった時どうしましょうか?

最初から「あなたには成婚は無理だ。」と言って断りますか?
サービスを希望されてるのだから契約して全力でサポートしますか?

女性向け婚活ビジネスをしているクライアントに以前教えてもらったことがあるんですが、
この課題は業界ではよくあるそうです。
聞けば聞くほど自分が経営者になったとしたら難しい選択です。

他にも、例えばあなたがビジネスコンサルティングをしているとします。

文章読解力もない。
集中力もない。
時間もない。
資金もない。
経験もない。
自分の考えを変えたくない。
ITも苦手。
協力者もいない。

そういう顧客がコンサルティングをしてほしいと仰った場合、
あなたには「無理だ」と言って断りますか?

頼ってくださってるので全力でサポートしますか?

もちろん「あなたの会社にコンサルしてもらったけど全然成果がでないじゃないか!」と
意見を言われるリスクは負っています。

難しいですよね。

僕にとってもこれは難しい問題ですし、
ずっと向き合ってきました。
今は一定の答えは持っていますが、悩ましい問題であることに変わりありません。

話が少し変わりますが、
起業時に僕が多大なる影響を受け学んだ神田昌典さんの
「非常識に成功する8つの習慣」というセミナー音源があります。

その中で、
「つきあいたい顧客とだけ付き合え」
こんなことをおっしゃっていました。

「顧客の依頼は断れ。」「顧客は選べ。」という意味にもなります。

今では当たり前のことかもしれません。

嫌な顧客に頭を下げて無理やりお金をもらうくらいなら
サラリーマンやってる方がマシと思う人も多いと思うし、
マーケティング技術の浸透や、SNSの普及で非常識ではなく常識になってるかもしれません。

そう考えれば先ほど出したケースでも、
「サービスを提供した結果、得たい成果を得ることが困難だと判断される顧客」
つまりは「望ましい顧客」ではないわけですから、断るのが正しいのじゃないか?という話になります。

でも僕はそう単純ではないなと思うようになりました。

次の3つの視点が欠けていると思うからなんですよね。

1つは「顧客が感じる価値、顧客の持つ価値観を勝手に決めてないかい?」ということです。

例えばブロードバンド通信の場合。
ヘビーユーザーからしたら、低速の回線なんてクソです。
サービスとしても破綻しているし、リスク説明が不足していたならもっと最悪。

でも普段は短いテキストメール送信しかしない人であれば、ダイヤルアップより確実に利便性は上がっています。
しかも安い。

その人にとっては価値を感じるサービスになってるわけです。
(実際、僕らが平謝りしてるのに、なぜ謝るのか?とおっしゃる顧客はたくさん見ました。)

例えば男性向け婚活のマッチングサービスの場合。
51歳で年収が低い男性が20代の女性とのマッチングを希望されていながら、
全然マッチングできないとしましょう。
それでも、そういうチャレンジをしたことや、親身になって相談にのってくれたこと、
もしかしたらという希望を持てたことで一旦満足される方かもしれません。

そして、無理だと具体的にわかった上で、マッチング可能な条件に変える人もいるでしょうし、
それなら結婚はしなくても良いと判断してスッキリされる方もいるかもしれません。

例えばコンサルティングサービスの場合。
どんなに時間がかかっても、成果が出るのが後になっても、日々の自分の成長に満足感をひしひしを感じる人もいます。
またその時の経験がその後のチャンスを引き寄せてる場合もあります。

いずれのケースも、その顧客にとってそのサービスなり商品は必要なものだったんです。
価値を感じてくださってるわけです。

満足度は顧客の持つ価値観の問題であって、こちら側が決めることじゃないのかなと。

それなのに断るってのは「顧客のため」とカッコつけていても、誠実でもなんでもなく傲慢なだけって噂もあります。

2つ目の視点は「そもそもその顧客のような方があなたの対象客じゃないの?」というツッコミです。

例えば結婚紹介というのは、自力で成婚できそうにない条件や環境だから他社の力を借りたいという人が利用します。
もちろん結婚を希望する人を探す時間を省略したいというだけの時間効率を考えてる人もいるでしょう。

でもやはり結婚するのが一般的に難しい条件の人が一定数になるのは否めなかったりします。
(何度も言いますが、そういう人ばかりじゃないですし、会社によって違いますよ?あくまで一般論としての話です。)

要するに「条件が厳しい人をサポートするサービスを提供している。」って側面もあると思うんですよね。

正しくは、条件が厳しい人同士でもマッチングしやすいように
その確率を上げるために会員を増やすことや、顧客の立場に寄り添ってサポートすることが大事なことであって、
条件を厳しい人を全部切りすてて、いわばほっといても結婚できそうな人以外を切り捨てるってことじゃないのかもしれません。

逆にどうしても、成婚しやすい人だけを相手にしたい場合は、難しそうな人は全部断って、高レベルの男女を揃えることだけに特化して
顧客コンセプトを丸ごと入れ替えるってことをしなければならないのかもしれません。

コンサルティングサービスにしてもそうです。
起業したい人、起業したばかりの人の場合、やはり資金もスキルもないとか、
知識を一から収集する時間を短縮したいって人だからこそ、コンサルに頼るってところがあると思うんですね。

そもそも「そういう方をお手伝いして成果を出すのがお前らの仕事だろ?」って話なんです。

そういう人でも成果が出るように情報収集を怠らず、知恵を出して、実践し、ノウハウを蓄積して、提供しろってことだったりします。

もし成果出やすいいわゆる簡単な顧客だけを相手にしたいなら、
すでに業績の好調な会社から、より高度なスキルを必要とする専門サービスを受注するようなビジネスに変更しなければなりません。

高額な広告代理業務とか、SNS運用代行、SEOメディア構築代行なんかもその一つです。

伝わります?

成果を出すのが簡単に見える顧客の求めるサービスはこちらのレベルも格段に上がりますので、
結局サービス提供者から見える難易度は変わりません。

年商20億の会社の成果をさらに出すコンサルティング業務はスキルレベルが高いです。
年収2000万以上の男性、容姿端麗な20代の女性のマッチングサービスは提供の難易度が高いです。

「その偉そうに断ってる顧客を助けるためサービスでは?」というツッコミです。

そして3つ目の視点が、それで収益は拡大してるの?という視点です。

なんやかんや格好つけても、業績が伸びないのは問題があるんですよね。

顧客を選んで経営を効率化しているつもりでも、顧客から単に選ばれてないとも言えます。
2つ目の視点で話した顧客の設定と自分が希望する顧客がずれてるもかもしれません。

そもそも業績が伸びてない場合、資金的な余力もありあせん。
結果、顧客に満足な価値は提供しづらいです。

「じゃその顧客の選別って誰のための何のための選別?」って話。

伝わりますかね?

別に顧客を全部受け入れろなんて言ってませんよ?

傲慢な態度や言動の顧客。
話が全然通じない顧客。
過剰なサービスばかりを権利のように要求する顧客。
真っ当な報酬を頂けない顧客。

こういうのは理屈抜きにお断りするべきです。

今回話ているのは経営者側が自分が集めてる顧客なのに、その顧客に価値を提供できなさそうだと
勝手な憶測から切り捨てたりしているケースの話です。

・顧客の感じる価値観を一方的に決めつけない。
・その顧客は自分が集めてた顧客属性の通りだということを知る。
・顧客を選別した結果業績が伸びていない場合は経営者が間違ってる。

この視点をもてれば意味なく顧客を切り捨てることなく
理想の顧客とだけお付き合いするってことも可能になるのかなと。

もちろんこの議論は深いテーマです。

集客の時の訴求、参入した分野、サービスコンセプトから遡って考えないと
正解は導けません。

でも「自分が好きな顧客じゃないと嫌。」みたいな乱暴な判断にはなってほしくないなと
思ったってお話でした。

みなさんはどうですか?そんな乱暴なことにはなってませんか?

ーー動画だと、もっと詳細に語っていますので、
深く理解したい人は、そちらもご覧ください。

【雑談】久しぶりのボーリング

ゴールデンウィークは特に旅行に行くわけでもなかったんですが、
家族はお休みでしたから、ちょいちょい出かけました。

そんな中、ボーリングしました。

10年ぶりくらいかもしれません。

スコアは140前後。

なんていうか・・・普通?
めっちゃ下手でもないけど上手ではない。な感じなんですが、
これって不思議と昔からずっと同じなんですよね。

頻繁に言ってる時も久しぶりでも同じようなスコアになります。不思議ですね。

ちなみに・・・
僕はゴールデンウィークとか実は嫌です。

みんなが休んでて混んでるし高い時期に出かけたくないから
起業して曜日的な制約からも自由になりたかったのに、

周りが無職か起業してない限りは合わせるしかないわけです。
そして並んだり高い金を払う感じになるのがすごい悔しいというか。

でも人と過ごせるって価値には変え難いなと思い始めてからは
そんなでもなくなりました。

てことで今回のボーリングもすっごい並びましたが
楽しかったんでヨシということで。

で話変わるんですが、アメリカのプロスポーツ選手で
はじめて高額な報酬を受け取った人ってメジャーリーガーでも
バスケットボールでもなくてプロボーラーって知ってました?

アメリカで初めて一般人が熱狂したスポーツがボーリングだったかららしいです。

意外ですよね。

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