テキスト版【第472回|安売りで消耗せずに安売りする方法?】
目次
安売りで消耗せずに安売りする方法?
こんにちは。河野です。
今日も開封していただきありがとうございます。
僕はロンドンからピサとか、フィレンツェからバルセロナとか、
近隣国の移動にはLCCをよく使います。
でもあんまり”安く”はなりません。
この夏もシンガポールからバンコクの飛行機をとる必要があるので調べてました。
確かにチケット代は安いんですよね。
でも購入手続きを進めいくうちにいろんなものが出てきます。
預け入れ荷物は?ー荷物多い派だからあります。ーかしこまりました。1個●ドル加算です。
席は指定する?ー子供がいるから指定します。ーかしこまりました。1席●ドル加算です。
支払いは?ーカードで払います。ーかしこまりました。1席●ドル加算です。
蓋を開けてみたら、一般の航空会社と変わらない料金になっちゃうんですよね。
こんなこともありました。
何年か前、友人とロンドンからフィレンツェに飛ぼうと、ライアンエアーってLCCを予約してたんです。
2人ともバラバラで。
ご存知の方多いと思いましすが、LCCてチケットを自分で印刷してもっていかないとダメな場合も多くて
ライアンエアーは当時そうでした。
友人はすっかり忘れてたんですよね。
「窓口でねじ込めばなんとかなるだろ」ってことで窓口いったら、チケット印刷代金を100ユーロくらい確か請求されました。
これも結局一般の航空会社の料金くらいになって苦笑いを二人でしたのを覚えています。
つい去年もサンセバスチャンで天候不良のためLCCの飛行機が飛ばず、
そして振替便の説明もないまま丸一日待たされたこともあります。
さて、これってどう思います?
LCC各社はけしからん?
せこいことしやがって?
「LCC(ローコストキャリア)で安いんだから、それはしょうがない」って受け入れてる人も多いんじゃないでしょうか?
話は変わって、ちょっとした僕の昔話。
起業してすぐ、期待していたアイデアが外れて金がなくて仕方がなく始めたホームページの制作業。
なんとか注文を取るために結構安くしてました。
たしかフルデザインで15万円か20万円くらい。
(テンプレートとかじゃなくて、デザインの好みを聴きながら作るやつです)
当然僕は作りませんので外注さんにお願いしてました。
どれくらいか細かくは忘れちゃったけど(ほんとは覚えてますがw)
それも安くじゃないと利益がのこならいので頼めない。
そうなると当然、副業とか片手間の人とか、駆け出しの人とかになったりします。
クオリティが高い人は、仕事の合間にやるから納期がえらいかかる。
駆け出しの人はクオリティが低くてびっくり。
なんてことがおこるんですよね。
もちろんクオリティが低いまま納品なんてできませんから、クオリティが高い人に変えて、
納期にヒヤヒヤしながら、お客様へお詫びとかしつつ回してたりしました。
今思えば、われながらなんと下手くそなビジネス運営だと思いますが当時は必死でした。
外注さんともよく言い合いしてましたね。
外注さんからしたら無理して早くさせられる。でも金は安い。
僕は無理なことを要求してイライラしている。でも大して自分も儲かってない。
お客さんは安い裏側の事情なんて知らないから、これまた不安になる。
期間としてはほんの1ー2ケ月くらいだったかもしれませんが、みなが消耗してたのかもしれません。
さて、このへんで今日の本題に入ります。
先に出したLCCと昔の僕。
安売りして注文を取っているところは同じなのに、
収益や、ストレス、お客さんの満足度が全然ちがいませんかね?
「この違いはなんだろう?」ってことなんです。
業種はもちろん違いますが、安くて役にたつものを売ってることは同じだし、
安いからこそお客さんが選択しているってところも同じ。
これを読んでいるあなたは、とても頭のいい人で
「私は安売りなんて馬鹿なことをしないよ。」と思ったかもしれません。
でもね。
結構いませんか?「安売り」してて、そのせいで「ストレスがある人」
別に「安いこと」を売りにはしていなくても、業界的に安い方であるかぎりは安売りです。
安いことを売りにしようと思っていないにせよ、安く設定してしまってる時点で安売りなんです。
そして、そういう場合の方が消耗していることが多いです。
安売りの自覚がある人は、安いことを売りにして集客しようとしていますから
そのぶんストレスを溜めない運用をしていたりもします。
物販なら大量生産大量仕入れしていたりといったことです。
自覚がない場合は、運用上の工夫はないので、安くするための見えないストレスがめちゃあるはずなんですよね。
昔の僕のように。
こういう時によくあるアドバイスは、「値上げせよ。」
「そのために自分の価値をあげろ。」「ブランド力をつけろ。」こんなのも含まれます。
言うだけなら簡単。
コンサルティングやコーチなど先生業だったりすれば、まー比較的簡単かもしれません。
でも、お客さんの抱く認識価値がある程度決まってる物販や、
ブランドっていっても手続きを代行するだけのようなサービスの場合は無理があります。
かといって、方向転換して物販ならプライベートブランドを作ったり、
サービス業なら業種変換をしたいってのも今日明日できるものでもありません。
言うのは簡単なんですけどねw
そして、第一ビジネスが回っていればいるほど結構勇気が必要です。
プロスペクト理論にのっとれば、今得られている利益を捨ててまで
不確実な勝負はしなように人間の脳はできています。
(このへんの「脳の動きがビジネスに与える悪影響」話はまた長くなるのでまたにします。)
てことで、今日は値上げを簡単にできない。でも安売りで消耗したりストレスを抱えている人が、
そうならない単純な方法をお話しします。
やっと本題でしたね。
もう答えがわかってる人もいますよね?
ヒントは先ほどのLCCにあります。
LCCのサービスで、運営側もお客さんにもいろんなストレスが”かかりにくい”のには、
共有している価値観があるからです。
LCCはこう主張していると思うんです。
リーズナブルな価格て飛行機を利用してもらうために、
安全以外の付随するサービスは何もついていません。
もちろん、荷物が多い場合、座席を指定したい場合、快適なスペースが欲しい場合、
食事がしたい場合、追加料金でアドオンできるようにしていますのでご安心ください。
これによってすべてのお客様の要望を満たせるようにしています。
こういうメッセージを共有しているんですよね。
どうやって?価格表でです。
またはサイトから予約するときに初めて知らさせるかもしれませんが、
メッセージは受け取り受託したことになります。
「安くしてるんだから我慢しろ、この貧乏人が!」というメッセージではないのですよね。
無形のサービスに価格をつけることで、お客さんとの意識の見えないギャップを埋めています。
売り手「安売りだからここまでできない、なぜわからないのか!」
お客さん「なんで普通の会社にあるサービスをおたくは提供しないんだ!」
このギャッップです。
つまり、コアなサービス以外に価格をつけちゃえば?ってことなんです。
例えば僕がマーケティングを担当してるオーダー商品のECにはこれを適用しました。
業界と比べても同じクオリテイの商品なら約6割くらいの価格です。
つまりめちゃ安いんです。
当然そのせいで運用はめっちゃシビアです。
制作スタッフを余分に抱えられないから、納期も余裕をもった対処はできません。ギリギリのラインです。
日本に事務所も開いたりできませんから、配送もワンテンポずれます。
高額な価格を設定している会社は、単純に配送やスタッフのバッファにこの売値を転換していますので、この余力があるんです。
そこと比べられるとただただ安い会社だけどサービスは他と同じにせよってなるじゃないですか?
お客さんは「なぜそんなに時間がかかるんだ!」となりますし、「早く届けろ!」と強くおっしゃればカスタマーサポートのポリシーが統一できないと他のお待たせしているお客さんを飛ばして「怒ってる人」に早く届くなんて、やってはいけないことも起こり得ます。
納期はどうなってんだー!と社内でも喧嘩が起こっちゃいます。
そこで、価値観を共有することにしました。
まず納期について、「わたしたちの納期は●●日かかります。」と最初に宣言します。
これは低価格を維持するために無茶せずできる限界。
でも早く届けて欲しい方もいますので、短納期のエキスプレス便を準備しました。
当然追加費用がかかります。しかも結構な額です。
それであれば短い納期の方は追加で費用をお支払いになった方。通常納期の方は低価格でご提供というフェアな取引になります。
私たちは高品質の商品を低価格でお届けし、すべての方に商品を楽しんでいただきたい。
その代わり、高額店にあるサービスをそぎ落としています。
でもご安心を。快適なサービスをお求めの場合は追加のオプションを用意しています。
という宣言をしたわけです。
ある欧州のプライベートガイドをしているクライアントさんもおなじようなことを採用しました。
プライベートガイドっていっても、ピンキリです。
日本語で安心して個別にガイドする。
それでも、ガイドが日本人か、現地人か?集合時間は何時からだと大丈夫なのか?
食事はつきあってくれるかくれないか? ある特殊な世界に詳しいか詳しくないか?
これを一つの価格で網羅しようと思うとどうしたってストレスになります。
そこでプレミアムプランってのを作って、
それこそ至れりつくせりのプランを準備したんですね。
このアイデアって一番の効果は運用上のストレスをかけないことなんですが、
当然LTVが上がるって効果もあります。
LTVってのは顧客生涯価値のことで、簡単にいえばある期間において1名あたりお客様がいくらお金を使ってくださるか?って数値です。
LTVも上がる。
価値を金額にしている。
付加価値を明文化して
アドオンを考える。
言われてみれば、当たり前のことなんですが、
なかなか自分のビジネスには適用するって発想がわかないものです。
当然「それだと売れないのでは?」って思うから。
でもね。よーくお客さんに話を聞いてみてほしいんです。
自分のコアな価値は意外と1個くらいしかなくて、
それ以外はなくても気づきもしない人も多いんですよね。
お客さんが求めるコアな価値を最大公約数でまずは準備する。
これは、安売りでもいいとしましょう。
その上で付加されていくサービスや価値に価格をつけていくんですね。
たいていどの業種でも通用するものを書き出してみましょう。
・納期
・キャンセルや返金保証
・梱包の形態や配送の形態(シワにならない。壊れにくい、保証がある)
・雛形か雛形じゃないか。
・時間が決まってるか決まっていないか?
・サポートがついてるかついてないか?
よく考えるとappleStoreでMacを買うときも同じように価値が切り離されてますよね。
僕も過去のホームページ制作業安売り時代に、同じことを考えて、
わがままNGのテンプレートの場合は●円
わがまま放題のスクラッチの場合 時価
みたいに変更してからストレスがなくなりました。
今思えば、納期もオプションにできたかもしれませんね。
(ビビってたけどね、あの時はw)
いかがですか?
「それも無理です。」って場合もあるでしょう。
その場合はですね・・・そのビジネスはあなたには合ってないかもしれません。
ユニクロ的というか、結構な資本力がないと収益構造上きついんじゃないかなと。
であれば、思い切ってブランド化して単なる値上げができたり、今日の話にようにアドオンしてでも価格をコントロールできる業種に移動するのがいいのかもしれません。
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【海外渡航記】ニューヨーク|MET と MOMA
もうニューヨークに行ったのも1ケ月前。
記憶も薄れてきてますが今日も渡航記です。
僕は去年ゴッホ美術館にアムスで行ったときに美術館が刺激的だと気がつきました。
てことで、今回のニューヨークも著名な美術館は行こうと思ってたんですね。
訪問したのはメトロポリタン美術館 通称MET と、
ニューヨーク近代美術館 通称MOMA。
当然「美術にも芸術にも詳しくない僕、なんなら好きでもない僕」にわかるものはそれほど多くはありません。
それでも十分に面白かったです。
実は一番見たかったのは、
例の社長さんが買ったのでも有名なバスキアの作品。
あとは、キャンベルスープや、マリリンで有名なアンディ・ウォーホール。
当然ネットでは見たことあるんですが、やはり本物が見たかったし、
オーディオ解説も聞きたかった。
MOMAにあると思っていたんですが、調査不足でバスキアは1枚もありませんでした。
(後で聞いたら近くで実はバスキア展をやってたらしいのですが、
入場でも100ドルくらいして、しかも売り切れてたんで結局無理だったんですけどね。)
アンディ・ウォーホールもダブルエルビス以外はありませんでした。
まそれはいいとして収穫もあったんです。
まず、ゴッホの作品もたくさんあったものの、
ゴーギャンの作品もたくさんありました。
で、それの何が収穫かって、何も知らない僕にとって美術の手がかりは昨年のゴッホだけなんです。
でも結構刺激を受けたんで、ゴッホのことは覚えています。
ゴーギャンってそのゴッホの友達なんですよね。
一緒に住んでたし。
そのくだりは覚えてますので、ゴーギャンのことはスッと入ってくるんですよね。
あ。美術詳しい人にとっては「何いってんの?」って話なんですが、
世界史の美術史もなんにも覚えていない僕には新鮮なんです。とにかく。
ゴーギャンって晩年タヒチに行って制作活動とかしてるんですが、
ゴッホの友達のゴーギャンの創作活動についての解説とか聞きながら絵を見てることで
いろいろ繋がって面白いわけです。
とにかくクリエイターは移動したり、自分なりのアウトプッとやインプットをしとるなーと。
で、とどめはMOMAにたくさんあったピカソです。
ピカソのことはなんとなくしか知らないじゃないですか?
(ですよね?)
でも知ればしるほど面白い人なんですね。
ピカソっていればスティーブジョブズが引用したことで有名なあれ。
「優れた芸術家は模倣し、偉大な芸術家は盗む」
このセリフの印象がめっちゃ強いんですが、絵の変遷を見ていると、めっちゃガリガリのクリエイターなんだなってそれだけで思えます。
しつこいですが、知識がない僕の少ないインプットかの感想ですからねw
思えば、バルセロナに3回も行ったのにピカソ美術館になぜいかなかったかと
今更ちょっと後悔しています。
ま、帰国してからも美術を深く知ろうとしているわけでもないのですが、
こんな風に、数珠つなぎに知識がつながていくのが面白いんですよね。
僕にとっては、今さなながら美術館面白いです。
【編集後記】未来の1000万より明日の10万円
この仕事していると、人間の判断について非合理なことを結構目にします。
例えば先日もこんなことがありました。
知人が雇われ社長をしている会社を、そのオーナーから1千万で譲ってもらえることになったそうです。
事業継承ですね。オーナーになるわけです。
社長の給与を引いてもオーナーは年間で1千万以上収益を得ています。
なかなかありがたい話ではあると思うんです。
だって事業はもう回ってますので。
でもその知人は別のルートでオファーがあった会社へ社員として就職するそうです。
ビジネスをやってる人にとっては摩訶不思議。
こういうのってよくあります。
ビジネスはじめてしばらくたったとします。
その事業が低空飛行をしているとします。
とはいっても離陸は近い兆しがあります。
そんなとき、別に知り合ったある社長とか知人の紹介で、
月給40万とか30万とかの社員の誘いがありました。
そういうことしたくなくて起業したんだと思うんですが、
比較的簡単にそのオファーを受けて就職しちゃう人が意外と多いんです。
これもビジネスをしている人にとっては摩訶不思議。
でもね、本文でも出てきましたが、プロスペクト理論に照らすと当たり前だったりします。
人間は損を回避したくて、利益を確定したい。
つまり、未来の儲かるかもしれない富なんかよりも、目の前に確実にもらえる給料を選ぶんです。
逆に、すでに100万円とか300万とかお金を事業に使ってるとしましょう。
でもその事業は無理ゲーだとわかったとします。
成功する確率は極めて低い。
本来であれば、コストをかけずに別事業へ切り替えてまたコツコツやるほうが成功率は高いです。
ただ、その場合はその100万なりは損したことになりますよね?損することは確定します。
これを回避したいって思いが強烈にでちゃうんですね。
どうなるか?
確率がめちゃくちゃ低いけど、売上10倍プログラムみたいな謎のものにもう100万使ったり、
効果なんて知れている自費出版をするためにさらに100万使ったりしちゃうんです。
もしかしたら突然かかってきたSEOの営業電話を信じて100万とかはらっちゃうかもしれません。
これは損をしたくないので、さらに博打を打ってしまうというプロスペクト理論の代表的な人間の非合理な行動なんだそうです。
つまり、「そんな判断する人はバカだ」とか「そんな判断するやつは勇気がないやつだ」なんて単純なことじゃなくて、
みんなそうなんですよね。
ってことは意志に反するというか、自然の摂理に抗うってことが必要なんじゃないかと思ったりします。
自分らしく。ワクワクのままに。とかって素敵なんですけどねー。
でもそれだと利益を確定し。損をぜったいしたくない。って非合理な判断の連続になっちゃうんじゃないかなー。とか。
そんなことを思っていました。